【G7広島サミット2023】露の核威嚇・使用「許されず」AI、新興国関与など議論 G7声明

先進7か国首脳会議(G7広島サミット)のワーキングランチで記念撮影に応じる岸田文雄首相(右手前)、バイデン米大統領(左手前)ら=19日午後、広島市南区のグランドプリンスホテル広島(代表撮影)

7年ぶりの日本開催となる先進7カ国首脳会議(G7サミット)が19日、広島市で3日間の日程で開幕した。議長を務める岸田文雄首相は、ウクライナ侵攻を続けるロシアや、覇権主義を強める中国に対抗するため、国際社会の連帯を目指す。市内のホテルで行われた討議では、ロシアに対し核兵器の威嚇や使用は「許されない」と訴えた首脳声明を発表。生成AIについて、担当閣僚が年内に結果を報告させることで一致した。

首相は同日午前、平和記念公園(同市中区)でバイデン米大統領ら各国首脳を出迎えた後、広島平和記念資料館(原爆資料館)を視察した。同日午後は、宇品島(同市南区)にある会場のグランドプリンスホテル広島に移り討議を始めた。

首相は討議の冒頭、「分断と対立ではなく、協議の国際社会実現への貢献を打ち出す」と述べ、法の支配に基づく国際秩序維持の重要性と、「グローバルサウス」と呼ばれるアフリカ、東南・南アジア、中南米の新興・途上国への関与強化を表明。首脳らの一致を得た。

サミットの重要議題であるウクライナに関する首脳声明では、ロシアの核兵器の威嚇、使用は「許されない」と強調して「最も強い言葉で非難」するとともに、ウクライナから露軍の即時、完全かつ無条件の撤退を要求した。ロシアに武器を供給する第三者を阻止するための連携強化も盛り込んだ。

中国の動向については「力による一方的な現状変更に反対する」方針を確認し、国際社会の責任ある一員としての行動を求めるとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性で一致した。

「核兵器のない世界」をライフワークとする首相は、自ら提案した核軍縮の行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を説明。G7首脳は核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」を発出することで合意した。

また、各首脳は対話型AI「チャットGPT」に代表される生成AIに関し、国際的なルール作りなどを議論する枠組み「広島AIプロセス」創設で合意した。

翌20日の午後のセッションから、インド、韓国、オーストラリアを含む8カ国の招待国首脳も参加。食料、保健、エネルギー分野などで協力を深める。21日に、3日間の成果を首脳声明にまとめて閉幕。首相はゼレンスキー氏との個別会談も調整している。

(広島サミット取材班)