植田日銀への注文で大規模緩和の副作用指摘も修正を是としない日経

都市のイメージ(Photo by Vlad Busuioc on Unsplash)
都市のイメージ(Photo by Vlad Busuioc on Unsplash)

出口戦略が最大課題

日銀の新総裁に戦後初の学者出身となる植田和男氏が9日付で就任した。10年間にわたり大規模な金融緩和政策を続け、8日に退任した黒田東彦氏の跡を引き継ぐ植田氏にとっては、目立ってきた副作用への対処と正常化を図る「出口戦略」の円滑な実施が最大の課題である。

日銀の新体制発足について、これまでに社説で論評を掲載したのは9日付読売と日経、12日付朝日、毎日、産経の5紙。見出しを記すと、読売「金融緩和修正の具体策を探れ」、日経「植田日銀は柔軟な政策と明快な対話磨け」、朝日「国民の信頼得る中央銀行に」、毎日「国民本位で柔軟な政策を」、産経「市場との丁寧な対話図れ」である。

いずれも黒田日銀の反省に立った植田日銀への注文だがちょっとした違いを見せた。読売は冒頭、「大規模な金融緩和を継続しながら、その副作用をどのように和らげていくか」と問い掛けたように、と金融緩和の修正を是としている。

他の4紙は見出しで示すような注文を付けるものの、金融政策の方向性については読売のような是非は問うていない。ただ、それでも朝日、毎日、産経は「出口戦略」について備えは必要などと言及するが、日経は「金融政策の拙速な正常化は避けるべきだ」と慎重な姿勢に終始し、金融政策の手法のみの提言にとどめる。「国内の需要増に根ざす継続的な賃金と物価の上昇が見通せない以上」というのがその理由である。