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野球の神様はいた――。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で14年ぶり3度目の優勝に輝いた「侍ジャパン」と米国との決勝戦を観(み)てそう思った人は多いのではないか。ハリウッド映画を超える幕切れだった。
日本の1点リードで迎えた九回表、二刀流、大谷翔平選手が抑え投手としてマウンドに上がった。それだけでも興奮するのに、2死走者なしでバッターボックスに立ったのは、米大リーグ「現役最強打者」でエンゼルスのチームメート、トラウト選手。こんな夢の対決が最後の最後に実現するとは。
大谷選手は時速160㌔を超える剛速球や変化球で真っ向勝負。最後はスライダーでトラウト選手を三振に打ち取った。この野球界の頂点に立つ選手同士の力と力のぶつかり合い、日本なら剣豪、米国ならガンマンの1対1の勝負のような場面に観客は酔いしれた。
野球はチームプレーだが、やはり力のある選手の活躍がなければ結果を出すことはできない。「USA」を連呼していた米国のファンも、もちろん悔しさは残っただろうが、「これぞ野球」という勝負に満足したのではないか。
決勝戦は侍ジャパンの7投手が継投する総力戦。米国の強打者を相手に2点で抑えた投手陣の実力は、世界トップレベルであることを証明した。
日本野球には手堅い試合運びで時に小技も繰り出すイメージがあった。今や個人の実力とチームプレーが合体したハイブリッド野球に進化しつつある。



