【上昇気流】(2023年3月16日)

オペレッタ「こうもり」(NPO法人日本オペレッタ協会より)

日本オペレッタ協会が創立45周年を迎え、それを記念してオペレッタ「こうもり」の公演が、東京の北とぴあで開かれた。ヨハン・シュトラウス2世による不朽の名作だ。

これは1874年、ウィーンでの初演で、この時代の世相である、斜陽する貴族と新興するブルジョアジーの様相が背景にある。日本語台本を作ったのは、創立者の寺崎裕則さん。

歌舞伎の演出が専門だったが、1974年東ドイツでオペラの演出を学び、その面白さを日本で普及すべく、ウィーンの伝統と日本の舞台芸術の伝統を融け合わせて、77年に同協会を創立した。

出演は同協会理事長でテノール歌手の田代誠さんはじめ、田中宏子さん、小栗純一さん、三ツ矢直生(なお)さん、東美奈子さん、村田孝高(よしたか)さん、小野口基(もとい)さん他。演出は劇団NLT代表の川端槇二さんだ。

台詞をスマホでやりとりしたり、SNSが登場したり、衣装も現代と古典とをミックスさせて、時代と文化を融合。抜群の演技と歌で楽しませてくれたが、構成には工夫が凝らされていた。

第2幕の舞台は貴族主催の夜会で、ドラマ進行中に、ゲストによるパフォーマンスが繰り広げられた。バレエを披露するアルテ・エスペランサの少女たち。「ビリーブ」を歌った東京滝野川少年少女合唱団。劇画家の池田理代子さんも歌を披露。キューバのダンサー、ナルシソ・アレハンドロ・アリアスさんも踊る。カラフルで国際色豊かな舞台となった。