日台関係は人類史の奇跡 歴史エッセイスト白駒妃登美氏が講演

日本と台湾の友好親善イベント「日台絆の夕べ」(主催=一般社団法人台湾世界遺産登録応援会)が4日、那覇市ぶんかテンブス館で行われ、歴史エッセイストの白駒妃登美氏が「日本と台湾の絆について」と題し基調講演した。以下は講演要旨。

明治28年から昭和20年までの間、台湾は日本の統治下に置かれた。当時は衛生環境が悪く、農業生産性も世界で一番低いとされていた。その台湾で日本人は学校を造り、教育を施した。警察制度も整えて治安も安定させた。西洋諸国は植民地から搾取し始めたが、日本は逆だった。

台湾が今先進国として存在しているのは日本のおかげだとして、その恩に報いたいと思っている台湾人は本当に多くいる。東日本大震災の時、台湾が世界一の支援をしてくれたことがそれを証明している。

台湾統治時代は、日本の人口が急激に増加した時代でもある。人口爆発によって食糧不足に陥った日本を台湾の蓬莱米が救ってくれた。さらに木材も不足していた。実は靖国神社や明治神宮の鳥居は台湾の阿里山のヒノキでできている。

日本が台湾に近代化をもたらしたという人がいるが、それは驕(おご)りだ。日本と台湾は共に手を携えて協力しながら歩んできた。

沖縄の人たちも、台湾に恩がある。当時、沖縄で医者を目指す人は本土に行くしかなかったが、経済的負担が大きかったため、台湾の医学専門学校で学んだ。その人たちが戦後の沖縄の医療を支えてきた。

国同士は大抵、距離が近ければ仲が悪いものだが、日台の幸せな関係は、人類が築いてきた歴史における奇跡ではないか。