凍結した道の歩き方 モンゴルから

ウランバートルの道は、急に都市化を進めてしまったせいか、現地の気候に対応できていない気がする。冬は氷が張って滑るし、夏は雨が降ると排水設備が整っていないのであっという間に洪水状態となる。

特に冬は気温が氷点下30度に及ぶことも珍しくないため、道路は常に氷の張った状態だ。雪は積もるが日本と違ってサラサラしているので、雪下ろしなどは必要ない。困るのは先述のように、氷で滑ること。その対策が、塩である。

今年は、ウランバートル市内のゲル地区の下り坂と、公道のスリップ事故が多い場所に、滑り止め用の塩が入った箱が設置された。市の用意した専用車でも、道路に塩を撒(ま)くという。

この効果のほどは不明だが、とりあえず歩行時について滑らないための対策は「ペンギン歩き」だ。前かがみでよちよち歩くのがコツ。雪国の人は自然と身に付けている技のようで、青森出身の知人は、「知らないうちにやっていた」と話していた。しかしモンゴル人は慣れているから滑らないということはなく、そこら中で転んでいる人を見掛ける。

筆者はモンゴル1年目の冬は幾度となく転んだが、2年目以降は冬が終わるたび「今年は2回しか転ばなかった」などと数えて記録していた。

ちなみに筆者がモンゴルで運転免許を取得したのも、真冬だった。実地試験の会場はスケートリンク状態で、マニュアル車のクラッチを踏んでいるのにスーっと後退していった時は、寿命の縮む思いがした。(T)