アマゾン熱帯雨林 消失速度が減少 金違法採掘業者の排除に力

【サンパウロ綾村悟】人工衛星からのデータでアマゾン熱帯雨林の状況を監視しているブラジル国立宇宙研究所(INPE)は10日、1月の森林消失量が昨年同月比で61・3%減少したと発表した。

1月に消失したアマゾン熱帯雨林は166平方㌔で、東京ドームの約3500個分に相当する。昨年1月の消失量は430平方㌔だった。先月は同地域での雨が多かったことが減少につながった可能性もあるという。

1月1日に就任したルラ大統領は、「2030年までにアマゾン熱帯雨林の伐採を実質的にゼロにする」ことを政策として掲げている。ルラ政権は8日、ブラジル国内の森林保護に取り組むために19の省庁による「省庁間委員会」を招集し、連絡会議を行った。

ブラジルのシルバ環境・気候変動担当相は、アマゾン熱帯雨林とパンタナル湿原、大西洋岸森林やセハード(中央高原)など、ブラジル国内の全ての地域で、植林も含めた森林保護を進める予定だという。

現在、ルラ政権は、アマゾン北部に居住区を持つ先住民族のヤノマミ族の保護に力を入れており、先住民居住区で違法伐採などを行っていた金違法採掘業者の摘発と排除を進めている。

また、米国を訪問中のルラ大統領は10日、バイデン米大統領と会談し、ブラジル政府がアマゾン熱帯雨林の保護に取り組むことを約束した。