フランス 交通事故の8割が男性 コロナ禍で増加 テレビCMで安全運転呼び掛け

【パリ安倍雅信】フランス当局の最新の交通安全キャンペーンのTVコマーシャルには、車も道路も事故の場面も登場しない。病院の産科病棟で若い男性が生まれたばかりの息子に対面し、「皆が男性に期待することをする必要はない」「なりたい男になればいい」と語り掛けるだけだ。

画面の中央には「路上で交通事故で死亡する10人中8人は男性」という言葉がある。

交通安全局(SR)は、事故原因の一つは、コロナ禍でストレスが増す中、男性が路上で男らしさを見せるために粗暴で攻撃的運転をすることが致命的な事故につながっているとの認識から「ハンドルを握る男性は無意味な男性らしさにこだわるべきでない」とのメッセージを流した。

SRの総責任者フローランス・ギヨーム女史は「一般化したり非難したりするつもりはない」としながらも、「この現実を道端に放置するわけにはいかない。男らしさと危険を冒すことを結び付ける社会的期待感から男性を解放することが急務」と述べた。

フランスの交通事故死の78%を男性が占めている。25歳未満では88%が男性で、飲酒運転による事故の93%が男性。

交通事故死亡率は英国のほぼ2倍であり、かつてフランスを含む南欧諸国の交通事故率は最も高かった。サルコジ元仏大統領が内相時代の2005年、全国に速度違反感知レーダーを設置し、死亡者数は減っていたが、コロナ禍で増加した。