
【ワシントン山崎洋介】バイデン米大統領は7日夜(日本時間8日午前)、米連邦議会の上下両院合同本会議で一般教書演説を行い、中国の偵察気球が米上空を飛行したことにより米国で対中警戒感が高まる中、「中国との競争に勝つには、われわれは全員、団結すべきだ」と述べ、結束を呼び掛けた。また、2024年の大統領選への出馬もにらみ、雇用創出などをアピール。下院で野党共和党が多数派を握る「ねじれ議会」となる中、超党派の協力も求めた。
▼気球言及なし
バイデン氏は演説で中国との経済分野での競争に勝つ必要性を強調し、「未来を左右し、中国政府が支配しようと試みる産業における米国のイノベーションに投資する」と表明。中国に対抗するため、同盟国と協力して先端技術を保護する考えも示した。
撃墜するのが遅かったなどと批判を浴びている中国の偵察気球への対応については直接言及しなかったが、「先週明確にしたように、中国が米国の主権を脅かすなら、われわれは国を守るために行動する」と牽制(けんせい)した。一方で、「習近平国家主席に対し、われわれが望んでいるのは競争であって衝突ではないと明確にした。米国と世界の利益になる分野では、中国と協力する」とも主張した。
バイデン氏は、昨年に続きロシアの侵攻を受けるウクライナのマルカロワ駐米大使を会場に招待。同大使に向かって「米国はウクライナを支援することで結束している。必要な限り、ウクライナを支え続ける」と述べ、侵攻が長期化する中、支援の継続を誓った。
経済については新型コロナウイルスの感染拡大により「2年前われわれの経済は低迷していた」が、過去2年間で記録的な雇用を創出したとし、「雇用が戻り、誇りが戻ってきた」とアピール。新型コロナについても「もはやわれわれの生活を支配していない」と主張した。
債務上限問題については、共和党のマッカーシー下院議長は、上限引き上げの条件として歳出削減を求めているが、バイデン氏は前提条件なしでの引き上げを要求。「国民はわれわれに明確なメッセージを送っている。争いのための争いは、どこにも行き着かない」として政策実現に向け協力を呼び掛けた。



