【上昇気流】(2023年2月9日)

愛称を募集している猫の頭の形に似た出土品=27日、福島県郡山市の大安場史跡公園

福島県郡山市に大安場史跡公園がある。JR郡山駅から南東5㌔の同市田村町にあり、阿武隈川の東側にある田園地帯だ。5基の古墳が発掘されて、史跡公園として開園したのは2009年。

そのガイダンス施設で、旧石器時代から古墳時代に至る、この地方の古い歴史を出土品で紹介している。大安場史跡公園は先月、同市西田町の遺跡で出土した、猫の頭に似た縄文時代の土器の愛称を募集した。

今月22日の「猫の日」に発表する予定だ(小紙1月29日付)。出土したのは西田町鬼生田の町B遺跡で、00年に調査された。これは縄文時代中期から晩期にかけての集落で、たくさんの土器と土偶が発見された。

その中から12点の土偶が、18年に大安場史跡公園で展示されたが、この時は猫の頭に似た土器は紹介されないまま。展示されたのは19年で、会津若松市の福島県立博物館だ。「猫のように見える土製品」として紹介されると、SNSで話題になった。

この地方一帯、田村町や田村郡三春町ではハート形土偶がたくさん出土していて、15年には「縄文の風景~ハート形土偶の生まれた時代~」が企画展示された。研究が進む中、この地方こそが発祥の地と判明する。

西田町鬼生田は、大安場史跡公園から阿武隈川沿いに北上して、隣の本宮市に近い丘陵にある。川沿いのルートは、古墳時代には物流の幹線道路だったそうだ。合流する逢瀬川沿いに西に行くと、山を越え、会津盆地に至る。