危険なパリの北の玄関 フランスから

今秋、ラグビーのワールドカップ、来年には夏のオリンピックが開催されるフランス。海外からの旅行者が例年以上に増えることが予想され、治安問題が心配されている。

特にパリの北の玄関口である北駅は、英ロンドンからのユーロトンネルを通るユーロスターの終着駅であり、ベルギー・ブリュッセルやオランダ・アムステルダムから来る高速鉄道タリスの終着駅でもある世界有数の国際鉄道ターミナルだ。

この北駅で1月、男が自作の刃物で通行人に切り掛かり、非番だった鉄道警察官を含む6人が負傷する事件が発生した。昨年2月には、刃渡り30㌢の刃物で武装した男がパトロールしていた警察官を脅し、警官が発砲、男は死亡した。

もともと北駅の治安は悪く、筆者も持ち物を奪われる経験をした。

長距離電車で到着したばかりの外国人が不慣れな券売機で地下鉄の切符を買うために財布から取り出したクレジットカードを奪い取り、近くの仲間に渡すチームプレーも見たことがある。

治安が悪いのは駅構内だけではない。北駅周辺では麻薬密売が白昼公然と行われ、路上で注射器で麻薬を打っている者もいる。

何も知らず北駅周辺のホテルに泊まり、持ち物を盗まれた例も多い。コロナ明けということもあり、昨年秋以降、人通りも多い。パリ市は治安も意識して北駅の大改造工事を行っており、内務省は民間警備会社を含め、警備態勢強化の方針を打ち出している。だが、人材育成が間に合わないと指摘する専門家もいる。(A)