【サンパウロ綾村悟】南米ペルーでボルアルテ大統領の即時辞任などを求める過激な反政府デモが首都リマなどで続いている状況を受けて、同大統領は24日、デモ隊に対話のための「休戦」を呼び掛けた。ペルー国営アンディナ通信が報じた。
ボルアルテ氏は、休戦を通じてデモによって被害をうけている地域の支援や各地域の復興に向けた対話を行うと説明、一方で、デモ隊が求めている辞任は「無政府状態を生むだけだ」と一蹴した。
デモの発端は、昨年12月7日に議会が急進左派カスティジョ前大統領に対する弾劾決議を可決し、罷免したこと。同氏が、採決前に国会解散と臨時政府樹立を宣言したことから、治安当局が反逆容疑で同氏を逮捕した。現在は、首都郊外の施設に拘束されている。
一方、カスティジョ氏の逮捕に農民などの支持者が反発、同氏の解放とボルアルテ新大統領の即時辞任、大統領選挙の早期実施などを求める反政府デモが発生した。各地で過激化したデモ隊による公共施設の破壊や道路封鎖などが続いており、これまでに治安当局とデモ隊の衝突で50人以上の死者が出ている。
首都リマでは24日にも大規模なデモが繰り広げられ、治安部隊との衝突でけが人が出た。また、これまでのデモにより、公共施設の破壊や観光被害などで、12億9千万㌦(約1670億円)以上の経済損失が発生する深刻な事態となっている。
こうした中、米州人権委員会(IACHR)と国連の人権高等弁務官事務所がペルーを訪問しており、25日にペルー政府などから聞き取り調査を行うことになっている。



