【上昇気流】(2023年1月22日)

春節

きょうは旧暦の正月に当たる。日本では1日の元日から正月になるが、韓国や中国では、この旧暦で祝う習慣が残っている。韓国では「ソルラル」、中国では「春節」と呼び、盛大に祝う。この期間は帰省や旅行などで大移動が起こる。

特に中国ではゼロコロナ政策が撤廃されたために、春節の前後、各地で民族大移動が起こっている。テレビのニュースなどで、大渋滞、観光地が人であふれている様子が報じられた。

ところで、なぜ旧正月を春節と呼ぶのだろうか。そう言えば、日本でも年賀はがきで新年のあいさつに「賀春」や「初春」「新春」などという言葉を使うことがある。賀春と言っても、新暦だとかなり寒いので春という印象はない。

旧暦では新暦と1カ月ずれているために、正月は2月初旬の立春が近い。昔の人には、新年は春が間近に感じられた時期にもなるのだろう。そのあたりにも旧暦が主になっている俳句の季語の難しさがある。

「城門の閉りし六時日脚伸ぶ」(田中延幸)。かつて小紙の「世日俳壇」選者をしていた吉本忠之氏は、死語になりつつある季語の大切さを語っていた。特に「日脚伸ぶ」という季語を例に挙げていたことを記憶している。この季語は1月も半ばを過ぎた時期のもので、ちょうど今ごろを表している。

ただ現代人にとっては、この季語が高いハードルになっている。「俳句は作ってみたいが、季語が……」という声を聞くことが多いのである。