タマネギの高騰で悲鳴 フィリピンから

2年間の新型コロナウイルスによるロックダウンを乗り越え、規制もほとんど緩和されたフィリピンでは、クリスマスが盛り上がりを見せている。しかしインフレによる物価の高騰が国民の財布を直撃している。

特に国民を困惑させているのがタマネギの高騰だ。クリスマス料理に欠かせない野菜だが、マニラ首都圏での価格は白タマネギが1キロ当たり400ペソ(約1000円)まで高騰。庶民の野菜が高級食材の仲間入りを果たすありさまで、あまりに高いため取り扱いを中止する市場も出てきている。

このような市場の状況を受け、中国などからタマネギの密輸も相次いでいる。政府は押収した密輸タマネギを市場に流通させる計画を明らかにしたが、安全性の問題で中止となった。農務省は密輸されたタマネギは検査を受けていないため、安全性が保障されないと指摘、購入しないよう呼び掛けた。

12月中に国内のタマネギ農家が収穫を迎える予定であり、これが市場に出回れば価格の高騰も一段落すると農務省は予測しているが、以前の値段まで下がるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

ちなみにスーパーで売られている野菜は、タマネギに限らず日本と比べても全般的に高い印象だ。輸送網の整備が遅れているのが原因と見られ、バナナなどは日本より高い時さえある。(F)