
【ワシントン山崎洋介】バイデン米大統領は21日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と対面での首脳会談を行い、ロシアのウクライナ侵攻に対抗するため、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」1基を含む総額18億5000万㌦(約2400億円)の軍事支援を伝えるなど強い結束を確認した。ゼレンスキー氏の外国訪問は、2月の侵攻以降初めて。
ゼレンスキー氏は会談後、連邦議会の上下両院合同会議で演説し、ロシア軍撤退や領土保全を含む和平案をバイデン氏が支持したことを明らかにした。これについて、「和平案は10項目から成り、われわれの共同安全保障や今後開催される可能性がある首脳会議のために実施されるべきだ」と訴えた。
約2時間半に及ぶ会談後の共同記者会見で、バイデン氏は「プーチン氏にこの残酷な戦争を止める意思がないことは分かっている。 米国は勇敢なウクライナの人々がロシアの侵略から自国を守り続けることができるよう必要な限り尽力する」と述べ、支援を継続する考えを強調。また「プーチン氏はこの戦争に勝てないことに気付くことになるだろう。その時こそ、ゼレンスキー大統領がこの戦争をどう終結させるか決定すべきだ」と述べ、ウクライナ側の主張に沿った形での戦争終結を目指す考えを示した。
ゼレンスキー氏は会見で、今回の軍事支援について、「ウクライナに安全な空域をつくるための非常に重要なステップだ」と述べ、ロシアによるウクライナ国民やインフラに対する「テロ攻撃」を防ぐ唯一の手段だと強調した。また「議会構成の変化に関係なく、超党派の支持があると信じている」と述べ、来年1月から下院の多数派が共和党に移った後も、支援の継続を求めた。
ゼレンスキー氏はその後の連邦議会での演説で、ロシアとの戦いを第2次大戦における米軍など連合国軍とドイツの戦いなぞらえて「1944年のクリスマスにヒトラー軍を撃退した勇敢な米兵と同様に、勇敢なウクライナの兵士たちは、今年のクリスマスにプーチン氏の軍と戦っている」と力説。その上で「われわれは戦線を維持し、決して降伏しない」と徹底抗戦する考えを表明し、議場からは歓声が上がった。
ゼレンスキー氏はまた、ウクライナへの支援は「感謝はするが、正直、十分とは言えない」と指摘。その上で「慈善行為ではなく、世界の安全保障と民主主義への投資だ」と述べ、今後も継続することを求めた。



