不安定な連立続く政治風土 ネパールから

ネパールでは11月20日に総選挙が行われ、下院議員275人が選出された。165人は直接選挙で選ばれ、残りの110人は比例代表により選出される。

結果的には、与党連合を率いるネパール会議派が89議席を確保して最大政党となり、最大野党のネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派が78議席で続き、次いで与党であるネパール共産党毛沢東主義派は32議席で3位となり、上位3党で7割以上の議席を獲得した。なお会議派など5党の与党連合としては、過半数の138議席に2議席足りない136議席の獲得だったが、デウバ氏が引き続き首相を続投することとなった。

さて、ネパールでは、2008年に239年続いていた君主制を廃止して以来、あらゆる政党が与党となって、かれこれ10の異なる連立政権が樹立された。しかも、権力闘争や内紛により党派が幾つも分裂しており5年の任期をそのままで全うした政党は一つもない。

また、今回の選挙の投票率は61%と、すこぶる高い投票率であったとは言い難いが、それでも、幾人かの若い政治家が当選したことや新しい政党が議席を獲得したことなどは、ネパールに新しい風を巻き起こし、意味のある選挙となったのではないだろうか。

これまで10の異なる連立と不安定だったが、これからの政権は、ゼロに戻って国民と一つとなって、新たな段階にネパールを引き上げてくれる政府となることを心から願うばかりである。(T)