【上昇気流】(2022年12月16日)

文部科学省

文部科学省は通常学級に在籍する公立小中学生の8・8%に発達障害の可能性があるとの調査結果を発表した。10年前より2・3ポイント増加という。個別にコミュニケーション方法などを学ぶ「通級指導」を受けている児童生徒は1割に届いておらず、増加ペースに支援が追い付かない実態が明らかになった。

知的発達に遅れはないものの、読み書き計算が難しい学習障害(LD)や、気が散りやすい注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害には、早期の支援が困難の軽減に重要と言われている。対応が急がれる。

特別支援教育には、知識やノウハウだけでなく、寛容さと何より愛情が必要と思われる。速成が可能な職種ではなさそうだ。人材の養成は大きな課題だろう。

気流子の旧友に特別支援教育に30年以上携わってきた男性がいる。定年退職後も私立の施設への応援を求められ、週2回ほど出勤している。この分野のエキスパートが少ないということもあるようだ。

寛容さと円満さを持ちつつも、教育者らしい筋の通った言葉や振る舞いに、30年間辿(たど)ってきた道のりが感じられる。最近もらったメールで「幸せを祈りながら、子どもたち、保護者と一緒に歩んできました」とあった。担当した児童生徒が社会適応していく姿を見て、保護者と喜びをともにしてきたという。

旧友との交流で発達障害への認識を新たにしたが、支援体制の充実とともに一般の理解の深まりが重要になってこよう。