【上昇気流】(2022年12月15日)

JR只見線 只見駅

福島県の西端にあるJR只見駅で下車した。ホームと言っても、線路と広い空間があるだけ。駅舎を出ると、タクシー会社とインフォメーションセンターがあった。

町の94%が山林原野で、川沿いの平地に人が住む山間部の町。10月に只見線全線が復活して町も賑(にぎ)わいを取り戻したようだが、平日で人影は少なかった。足を運んだのは「ただみ・ブナと川のミュージアム」。

自然と暮らしを紹介している。2007年に「自然首都・只見」を宣言し、自然環境を保護し、次世代に継いでいく責務を表明。14年にはユネスコエコパークに登録し、人間と自然の共生実現のモデルを示そうと計画を推進している。

全域が四つに分けられて「保護地区」や「利用地区」などに指定している。渓流釣り師らの憧れの地であるが、釣りができるのは法的拘束力の無い「移行地域」だけ。只見川の一部とその支流、伊南川流域がそれだ。

山を見ると、山肌が引っかかれたように岩がむき出しになり、それがモザイク状に連なっている。雪崩で削られた「雪食(せっしょく)地形」だ。尾根には針葉樹、斜面には低木林、下部にはブナ林、谷沿いにはトチノキやサワグルミが生えている。

人の手の入っていない原生的な状態だそうだ。宿ではイワナ料理が出てきた。さすがに美味(うま)い。火で焼くだけなのだが弱火で1時間をかける。すると骨まで柔らかくなり、全部食べることができる。自然界の利用方法を熟知しているのだ。