【パリ安倍雅信】フランスのマクロン大統領は9日、スペイン南東部アリカンテでスペインのサンチェス首相、ポルトガルのコスタ首相と会談し、スペイン・フランス間の海底水素パイプラインを2030年までに建設し、稼働を目指すことで合意した。
費用は約25億ユーロ(約3600億円)と見込まれ、年間約200万㌧の水素を輸送する。
再生可能エネルギーで作る「グリーン水素」を地中海の海底パイプラインで、スペイン北東部バルセロナからフランス南部マルセイユに輸送する。フランスの反対で実現しなかったピレネー山脈を通りフランスとスペインを結ぶガス供給ライン「MidCat」に取って代わるプロジェクトだ。
マクロン氏は「共通の利益をもたらすプロジェクト」であることを強調、3カ国は、近く欧州委員会にプロジェクトを提出し、23年初頭には欧州連合(EU)からの資金提供を受けることを目指す。
現段階では、全長455㌔にわたる三つのルートが検討され、技術的、環境的、財政的な調査を経て決定する。
ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー不足が表面化する中、供給が停止しているロシア産天然ガスに代わる液化天然ガス(LNG)を含む供給ルートの開発を進めるEUだが、再生可能エネルギーへの転換を急ぐ。



