仏で計画停電検討 ブラックアウト回避で  

【パリ安倍雅信】ロシアのウクライナ侵攻の影響で電力逼迫(ひっぱく)が懸念されるフランスで6日、政府が「最悪のシナリオ」である大規模停電(ブラックアウト)を回避するため、計画停電の可能性があることを明らかにした。治安維持や救急、交通や学校の運営などを考慮し、自治体で検討に入る。

11月最終週の電力消費量は前年同期より8・3%減少した。政府の要請に従って自発的に企業や世帯は節電を行っているからだ。仏公共TVフランス2は、ある不動産グループ企業が、昨年同期より11%電力消費を減らしている例を取材し、オフィスの設定温度を2度下げ、照明を落とし、エレベーターの半分を停止させていると伝えている。従業員はオフィス内でマフラーなどの着用で寒さをしのいでいるという。

ボルヌ首相は緊急閣僚会議で、最悪の事態への準備を進めているとし、最大の懸念事項は「救急車、警察の電話が通じなくなることだ」と述べている。ベラン報道官は、「フランスにある数社の電話会社のうち、一社の電波が通じれば、救急や消防、警察への電話は通じる」としているが、携帯電話のアンテナが極端に少ない過疎地では、通じなくなる可能性が高いことを認めている。

電力の多くは原子力発電に頼っているが、56基ある原子炉の一部が調整中で停止していることから、電気供給量は通常より20%減っている。このため不測のブラックアウトが発生する懸念が高まっており、政府は計画停電の実施を準備している。