【社説】サッカーW杯 森保ジャパンの健闘称えたい

PK戦でクロアチアに敗れ、茫然とする日本の選手=5日、アルワクラ(時事)

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は1次リーグで強豪のドイツ、スペイン両国を撃破するなど大きな活躍を見せた。惜しくも初のベスト8進出はできなかったものの、森保ジャパンの健闘を心から称(たた)えたい。

ドイツ、スペインに勝利

日本は1次リーグで、優勝経験のあるドイツ、スペインと同じE組に入った。このため、大会前は日本の敗退を予想する見方も多かった。ところが、ふたを開けてみればドイツに2-1の逆転勝ち。コスタリカには敗れたが、スペインにはやはり2-1の逆転勝ちで、E組首位となって初の2大会連続決勝トーナメント進出を決めるという快挙を成し遂げた。

先制されてもあきらめず、チーム一丸となって粘り強く戦ったことが光る。カタールは日本が1993年に初のW杯出場を目前で逃した「ドーハの悲劇」の舞台だが、ドイツとスペインから金星を挙げたことで喜びの舞台に変えたのだ。

トーナメント1回戦では前回準優勝のクロアチアと対戦。1-1のまま延長戦、PK戦を戦って死力を尽くしたが、勝利することはできなかった。しかし森保ジャパンの戦いぶりが、国民にどれほど希望と勇気を与えたか分からない。

特にドイツとスペインに勝利した時は列島が歓喜の渦に包まれ、この期間は国民の間に強い一体感が感じられた。スペイン戦は日本時間で早朝、クロアチア戦は深夜となったが、多くの人が森保ジャパンの戦いをテレビで見守った。

日本の快進撃は世界を驚かせた。だが、これは奇跡や偶然ではない。日本サッカーが着実にレベルアップしていることは確かである。

ドイツ、スペイン両戦でゴールを決めた堂安律選手のように本場欧州のクラブで活躍する日本人選手も珍しくない。日本が初出場し、1次リーグで全敗した98年フランス大会で「海外組」はゼロだったが、今回は26人中19人を数える。このうち8人がドイツでプレーしている。

森保一監督はクロアチア戦の敗戦後、選手たちに「優勝経験国に勝てる新しい景色は見せてくれた。日本が世界で戦い、世界で勝っていける新時代を見せてくれた。この悔しさを次の成長につなげてほしい」と熱く語り掛けた。今大会の活躍ぶりを見れば、日本が今後、ベスト8以上の成績を残すことは決して夢ではない。

次回の2026年大会は、米国、カナダ、メキシコの共同開催で、出場枠も現在の32カ国から48カ国に増加する。1次リーグは3チームずつ16のグループに分かれ、上位2チーム、計32カ国が決勝トーナメントに進出する。今回の日本代表の中には4年後の活躍を期待できる選手も多い。

次回はベスト8以上を

日本サッカー協会は50年のW杯優勝を目標に掲げている。確かに世界の壁は厚いが、もっと早くこの壁を突破して優勝してもいいのではないか。

まずは飽くなき向上心を持って地道な練習と試合での経験を積み重ね、次回こそはベスト8以上を達成してもらいたい。