【上昇気流】(2022年12月4日)

冬の寒さがめっきり身にこたえるようになった。机に向かい、足元を温めていても、上半身が寒さで心底から震えてしまう。一挙に秋から冬に突入したという印象である。

クリスマス商戦が盛んになり、まだ年の瀬という実感がないのに、正月の松飾りなどがスーパーで販売されるようになった。それだけで何かに追い立てられるような心理になる。12月を「師走」とはよく言ったものである。

近代俳句をリードした俳人の正岡子規は、野球好きとしても知られている。日本に伝来して間もない野球に熱中し、ポジションは捕手だった。一時期、雅号を幼名の「升(のぼる)」にちなんで「野球(ノボール)」としていたほど。

子規が提唱したリアリズムの「写生」も、こうした肉体を駆使するスポーツの影響があったかもしれない。文学というと、頭脳ばかりを酷使するイメージがあるが、案外、身体の持つ感覚が反映している気がする。

熱戦が続くサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会では、日本が強豪のスペインを破り、初の2大会連続決勝トーナメント進出を決めた。一気にヒートアップした日本は、次に前大会準優勝のクロアチアと当たるが、ぜひ初のベスト8進出を果たしてほしい。

サッカーや野球などを観戦する時は、試合前から気持ちが高ぶって落ち着かないことが多い。試合開始のホイッスルが鳴るまで、なぜか待つ時間が長く感じられてしまう。ここしばらくは選手もファンも眠れない日々が続く。