
パーティーなどでの発言内容が漏洩(ろうえい)するケースがしばしば伝えられる。パーティーも規模はいろいろだが、どこまでが「内輪」で、どこからが「世間」かはキッチリ決まっているわけではない。
発言者はそこの線引きには気を使うだろうが、ほんの少々口が滑ってしまうことは十分にあり得る。いつの間にか息苦しい時代になってしまった。
パーティーの席ではないが、ある首相経験者(故人)は、A・B・C3人の相手に対して個別に秘密の情報を伝える際、情報本体に加えて、それぞれにエピソードを伝えることとしていた。
相手が3人であれば、3通りのエピソードを付け加える。数日後、例えば首相の側近Dの所にも、さまざまな人物から反響が返ってくる。
「〇〇は首相からこんなことを聞いたと言っている」と側近Dが首相に伝えると、肝心の情報ではなく、エピソードだけであることも多い。首相は「このエピソードはA、これはB」と記憶しているから、A・B・Cの誰が漏洩したかが分かるという仕組みだ。首相は「Aはきっと情報も漏らした可能性がある」と推測することもあるだろう。そこには首相なりの人間評価も含まれよう。これも政治だ。
パーティーでは、一人が複数に対して同時に話すのだから、首相の話とは違う。それでも、ボイスレコーダーあり、動画あり、何でもありのご時世だ。油断もスキもない社会になってしまった以上、用心するに越したことはない。



