【上昇気流】(2022年10月31日)

自動運転

自動車運転の無人化、つまり“ロボット化”が進んでおり、日本でも遠隔監視による無人自動運転サービス(自動運転「レベル4」)の許可制度が来年4月1日から実施されることになった。

レベル4は、走行ルートなど特定条件下で完全な自動運転を果たすという規定。最大の関心事、課題は人間社会と共存できるか、安全性についてだ。

かつてわが国はロボット先進国だったが、21世紀までに工場で使われる産業用ロボット開発の延長線上にある技術の到達点が見えてきた。その後、人間の代替としての人間に似たロボット開発の必要が言われたが、なかなかはかどらなかった。

人型ロボットを創作した企業に15年ほど前取材し、いつごろ家庭内に導入されるかと問うと、途端に歯切れが悪くなり「時期は決まっていない」と。メーカーは完璧な安全性を見通せないと、家庭に入り込むロボットには手を付けられなかったのだ。

本でロボットの技術開発の流れが変わったのは、自動車産業の無人運転車実現への強い意欲による。米国や中国、ドイツ、フランスなどは自動運転の開発にしのぎを削り、実装を始めている。負けられないということだった。

レベル4は自動運転中に事故が発生した場合、責任は状況に応じ個別に判断される。新しい安全仕様を日本がクリエートし、いずれ世界に誇れる交通体系をつくり出すという官民協力体制ができれば、自動運転開発に大きな期待が持てる。