
JR只見線は、福島県の会津若松と新潟県の小出を結ぶ135・2㌔の「秘境路線」。山と森と渓谷の織り成す絶景の山間部を只見川に沿って走る。谷川を渡って行く橋梁(きょうりょう)の数も多い。
鉄道ファンに人気の高かった路線だが、2011年7月の豪雨災害で、福島県内の会津川口(金山町)と只見(只見町)間27・6㌔が不通となり、並行する沼田街道を通る代行バスが運行されていた。
強く復活を求めたのは地元の人々だった。国内では「好きなJRローカル線ランキング」(「旅と鉄道」16年5月号)でトップ。外国人にも人気があり、特に台湾から県内での宿泊者が増えていた。
17年の秋には台北市の台北駅構内に、雪景色の中を走る只見線の列車を撮影した懸垂幕が掲げられた。雪の渓谷美が南国人たちを魅了したらしい。この路線はまた、首都圏から上越新幹線、上越線を経由し、会津若松に至る周遊ルートをつないでいる。
だが豪雨のもたらした災害は甚大で、流失した鉄橋は3本も。当時の画像で橋の一つ二つを見ると、橋は死体のようであり、無残で痛ましい。自然界そのものが醜い姿をさらけ出していた。
しかし修復された橋を見ると、周囲の大自然と調和して美しい。沼田街道をドライブして、只見川と只見線の織り成す景色を眺めたことがあった。道の駅では地元の特産品を販売していた。保冷庫の中を見ると、鮭のように巨大な岩魚があって、ここはまさに秘境だと実感した。



