【パリ安倍雅信】ロシアから天然ガスの供給を受ける欧州連合(EU)諸国が、ロシア側がパイプラインを停止したことで、ハンガリーが唯一供給を受け続ける国となった。複数の欧州メディアが伝えた。ハンガリーのオルバン首相は「制裁を受けるロシアより、制裁を科すEUのダメージが大きい」とEU当局を批判し、制裁措置を解除するよう要求した。
欧州には現在、ロシアから四つのパイプラインで天然ガスが供給されていたが、バルト海の海底を通る年間550億立方㍍の輸送能力を持つノルドストリーム1は何者かの攻撃とみられる爆発で完全に停止され、同じルートのノルドストリーム2は、ドイツ政府が承認を拒否したために運用されていない。
全長4107㌔の最長のパイプラインとなる西シベリアからドイツに向かうヤマル・ヨーロッパは5月にロシアが供給を停止した。残るロシアから黒海の下、トルコとバルカン半島を通過するパイプライン、ターク・ストリームは唯一稼働中でハンガリーは現在、EU加盟27カ国で唯一ロシア産天然ガスを受け取っている。
ただ、EUではエネルギー価格高騰を抑えるため、ガス価格の上限設定をフランス、イタリア、ポーランドなど加盟15カ国が要求している。これに対してもハンガリーは反発を強めている。



