榴岡天満宮の俳諧碑林 仙台市

碑と筆塚 調和した風情醸す

仙台市宮城野区の江戸時代建立の榴岡(つつじがおか)天満宮境内に「俳諧碑林」と言われる碑群がある。菅原道真を祭神とすることやその句碑・歌碑と共に筆塚もあり、一つの調和した風情を醸し出している。

ここには、句碑19基の句碑のほか、歌碑2、筆塚やその他の碑などが立っている。

その理由について、俳人の渡辺誠一郎氏によれば、「榴岡が歌枕の地であり、天満宮の祭神が学問の神様という必然性に加え、行楽の要所であったことなどが挙げられる」(仙台文学館友の会会報「文学の杜」46号、2015年)という。東隣にやはり江戸時代に設けられた桜の名所がある(現・榴岡公園)。

句碑はそれぞれ形が違って古色蒼然(そうぜん)とし、読むのが難しいが、脇に立て札があるので、読むことができる。当時の全国区の俳人から、仙台の俳人の句まである。最も古い建立は享保8(1723)年の太白山人(仙台藩の儒者、佐久間洞巌(どうがん))のもので、新しいのは明治19年だ。

松尾芭蕉の「あかあかと日はつれなくも秋の風」(『おくのほそ道』)句碑(1743年建立)もある。赤々と容赦なく日は照り続けているが、吹く風にはさすがに秋の気配が感ぜられる、の意。ちょうど今のような季節だ。

境内には樹齢300年のシラカシがどっしりと立ち、枝葉は境内の半分を覆うほど。句碑に流れる長い時間を感じさせられる。

(市原幸彦、写真も)