【サンパウロ綾村悟】ブラジルのフォーリャ紙は31日、2021年に中国がブラジル向けに行った投資が前年比で3倍に増加したと報じた。ゲデス財務相らからは、中国からの膨大な投資が地元産業や市場を破壊しかねないとの懸念の声が上がっている。
21年に中国がブラジル向けに行った直接投資額は59億レアル(約1600億円)で、新型コロナウイルス・パンデミック中の20年は19億レアルだった。
代表的な投資例としては、オンライン銀行ヌーバンクへの投資や、深海油田への大型入札、長城汽車によるメルセデス・ベンツ工場の買収などが挙げられる。
中国は南米地域への投資を旺盛に行っており、投資の伸び率から南米を重要視していることが見て取れるという。
南米では近年、左派政権が相次いで誕生しており、中露による政治・経済、さらに軍事面での影響力拡大が懸念されている。
こうした中、ゲデス財務省は先週、「これ以上、中国からの資本流入は望まない。ブラジルの地元産業や市場が破壊される」と批判した。また、10月の大統領選挙に出馬表明し、支持率トップの左派・ルラ元大統領も、「ブラジルが中国に飲み込まれてしまう」と資本流入を牽制(けんせい)する発言を行っている。



