マニラ首都圏のいくつかの自治体で導入され始めた非接触型のハイテク交通違反取り締まりシステムが物議を醸し、最高裁が一時差し止めを命じる事態となっている。
「NCAP」と呼ばれる交通違反取り締まりシステムは、監視カメラの映像から違反車両を特定し、自動的に罰金を科すという画期的な仕組みだ。違反チケットは車両の所有者に自動的に送付され、もし支払わない場合は車両登録の更新ができなくなる。
このNCAPシステムにより、取り締まり現場でしばしば起きていた警官らによる賄賂要求が一掃できるほか、新型コロナウイルス感染の対策上も好ましいことから導入が加速した。
しかし、違反の通知が運転手の元に届かず、車両登録の更新の際に罰金を初めて知らされて追徴金を含めた大きな金額をいきなり請求されたり、タクシーやジープニーなどの営業車両の場合、違反した運転手ではなく車両の所有者に罰金が科せられたりするなど、法的な矛盾に多くの苦情が寄せられていた。
さらに、車両ナンバーを入力することで違反履歴を確認できるサイトが用意されているが、第三者が他人のナンバーを調べることも可能なため、プライバシーの侵害も指摘。もし、NCAPが違憲だと判断されれば、これまで支払われた罰金の払い戻しも含め大きな混乱に見舞われそうだ。(F)



