子供を救うセラピーゲーム イスラエルから

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、半年が過ぎた。イスラエルは、各国に先駆けていち早くウクライナ国内に野戦病院を設営している。

野戦病院の立ち上げに参加したイスラエルのサフラ小児病院のイタイ・ペサフ医師は、危機的環境に置かれたウクライナの子供たちの心のケアの重要性を強く感じたという。ペサフ医師はイスラエルの専門機関と提携して、今もなお家族と離れ家に戻れない子供たちの心的ストレスや不安レベルを解消するためのセラピーゲームを開発した。将来の心的後遺症を可能な限り軽減することに有効だという。

ゲームキットは、菓子箱サイズの人形の家と中に入った人形たちで、実際にウクライナの子供たちに届けられている。人形は「心配人形」と名付けられ、子供たちはその人形に自分の抱えている不安や経験した怖い体験などを自分の言葉で話すことができる。そうして自分の思いを打ち明けることで、自分の不安を人形に移すことができるという。

確かに子供にとって、自分の思いを言葉で表現するのは難しい。人形になら自分の言葉で自由に語り掛けることができる。聞いてくれる存在があることで、ストレスが軽くなるというのは、大人も同じだ。

これらのゲームキットは、イスラエル全土の学校の生徒や青年ボランティア、サフラ小児病院に入院している子供たちによって手作りされている。

一日も早くこのゲームキットが必要でなくなる日が来ることを願う。(M)