江戸初期から現代約50点
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山形県山形市の山寺芭蕉記念館では、企画展「今昔妖怪・もののけ展―異界探訪 鬼退治伝説から呪術師まで」で、妖怪が日本文化の中でどのように語り継がれ、表現されてきたのかを、江戸初期から現代に至るまでの妖怪画や造形作品約50点で紹介している。
妖怪は古来よりさまざまな文学作品、美術作品に取り上げられてきた。江戸時代の俳聖・松尾芭蕉も紀行文『おくのほそ道』の中で、謡曲の題材となった「殺生石(せっしょうせき)」(室町時代)を栃木に訪ねた。妖怪「金毛九尾(きんもうきゅうび)の狐(きつね)」が退治された後、その怨念が石になったという伝説が残されている。
人の言葉を話し、多くの目を持つ霊獣「白沢(はくたく)」は葛洪(かっこう)の『抱朴子(ほうぼくし)』(紀元4世紀)から登場するが、現代でも人気があり、その油彩画が目を引く。
古代の中国で著され、日本にも伝わった地理書『山海経(せんがいきょう)』(前4世紀~後3世紀)には珍しい動物や植物、奇怪な生き物が描かれており、それらの絵図も紹介。
他に、さんずの川のほとりに立ち、死者の着物を剥ぎ取る「奪衣婆(だつえば)」の油彩画がにらみ付けるように描かれていて、印象的だ。
相原一士学芸員は「昔から日本人は妖怪についてイメージを膨らませ、怖がるだけではなく物語として楽しんだり、絵画や文化に発展させたりしてきた。その歴史を見ていただければ」と話している。8月30日まで。
(市原幸彦)



