ドイツの高級週刊誌ツァイト電子版は毎週金曜日に「グッドニュース」だけを集めたニュースレターを配信している。8月5日にトップを飾ったのは、昨年の出生数と合計特殊出生率の増加だ。独連邦統計局が3日公表したデータによると、昨年報告された新生児は79万5492人で2020年よりも約2万2000人増加した。出生数の増加は17年以来というから、トップとしたのもうなずける。
連邦統計局は、「コロナパンデミック中の特別な状況」を一つの原因としている。パンデミックでホームオフィスが奨励されたこともあって、夫婦が長時間、家庭に留まることができる環境が出産の増加に貢献したということだ。
1人の女性が一生の間に産む子供の数(合計特殊出生率)は21年1・58人となり、前年の1・53人からわずか上昇した。
欧州連合(EU=27カ国)の20年合計特殊出生率のトップ5は、①フランス1・83②ルーマニア1・80③チェコ1・71④デンマーク1・68⑤スウェーデン1・67だ。最下位はマルタで1・13。EUの平均値は1・50だった。
移民なしで、人口を維持するには、平均2・1人の子供を生む必要があるが、EUで達成した国はない。日本は20年、1・33だった。
少子化対策は成果が出てくるまでに長い年月が必要となる。国民の結婚観、人生観も深く関わってくる。閉塞(へいそく)感に包まれ、未来に対する希望が感じられない時代に新しい命の誕生を願う人はやはり少ない。それだけに、未来に確信が持てる社会づくりこそ急務だ。(O)



