第42回秋田県高等学校写真連盟展 「芸術」への高み目指す

県内33校から437点が出品

子供の作品などを見詰める親子。第42回秋田県高等学校写真連盟展=秋田県立美術館

先日、第42回秋田県高等学校写真連盟展が秋田県立美術館の県民ギャラリーで4日間にわたり開かれた。主催は県高等学校文化連盟(高文連)写真部会。

県内高校の写真部員が1人1作品応募。今回は33校から合計437点が出品された。審査の結果、特賞2作品、推奨8作品のほか、入選と佳作(全体の約2割)が選ばれた。動きや表情、画面構成が審査のポイント。今年はコロナの関係で応募が百点ほど少なかった。

人物や動物、風景など四季折々の一瞬の姿を捉えた高校生による写真が会場全体を埋め尽くす。1作品の大きさはA3ノビ(約33×48センチ)で多くは1枚で表現する「単写真」だが、2枚組、4枚組、中には6枚組もあった。

農作業や漁船、仲間のポートレートや、弟(?)がドミノ倒しに興ずる姿。動物は猫やカモメ、動物園での取材もいくつか。花はミズバショウ、桜、ツバキ、三色スミレ、菜の花と多彩。中には吹雪の中のスノーボード姿や、サングラス姿の女の子3人がはじける若さ全開のポーズなど、初々しさも散見する。

大曲高校2年・佐原心望さんの「まごころ」は、雪景色の中、普段着のおばあちゃんが笑顔で歩く。田舎では何気ない光景だが、ほのぼの感が半端ない。

特賞の畑田優夏さん(横手高校3年)の「一瀉千里に舞う」は、競技かるた大会であでやかな和装姿の女性がかるたを飛ばす一瞬を捉えた。

いわゆる創作写真への挑戦も多い。中央に光源を置き、周りの9個のビー玉が織りなす光のファンタジーや、ドーナツやポテトチップスで「お菓子な顔」を作るなど。夕日の鉄道レールや港のコンビナート夜景など人工物に着目した生徒も。

高文連写真部会の紹介文には「芸術としての写真に対する関心は高いとはいえない。(略)芸術に引き上げるには技術とともにそれを創り出す人間のセンスが重要である。偶然の一瞬も大事だが、自ら想像するものを画像として実現するための作り込む技術も必要」とあった。

県内の高校生は通常、年に3回、応募のチャンスがある。6月の写真連盟展、11月の総合美術展(写真部門)、そして高文連主催の県北、県南、中央の各地区展だ。なお受賞作品の数を競う学校対抗では1位が湯沢翔北(しょうほく)高校で、横手高校、湯沢高校と続いた。

(伊藤志郎)