【上昇気流】(2022年8月18日)

ヤマユリ

東京都八王子市にある高尾山に登った際、1号路のあちこちでヤマユリを見掛けた。風格があって見とれたが、高尾登山電鉄の「やまゆり再生プロジェクト」が2年前から球根を植え始めたそうだ。

気流子が東北地方の山野で見てきたヤマユリと、周囲の植生が違うので、期待通り根付けばいいと思ったが、一抹の不安を覚えた。ユリは育てるのが結構難しいからだ。新潟県の佐渡を旅した時、スカシユリの球根を買ってきて庭に植えた。

オレンジとピンクの花をそれぞれ咲かせたが、4年目まで。その後消滅した。十数年前、住まいのある東京都三鷹市でタカサゴユリをたくさん見掛けた。公園で、道端で、家の庭で。すごい繁殖力だと驚嘆した。

原産は名前にあるように台湾で、大正時代に園芸品種として移入され、野生化して増えていった。自家受粉し種子が風で飛んでいくのだ。埼玉県で農業を営む知人は、ゆり根を収穫するための栽培計画を話していた。

食べてみると美味(おい)しいのだ。それから十数年たってみると、かれらはほとんど姿を消していた。それを遷移というのだろうか。なぜ姿を消したのか、分からない。環境と調和しなくなったのだろうか。

そう思って辺りを散歩していると、ここだけは別世界というエリアを見つけた。たくさんのタカサゴユリが見事に咲いていた。そこは造園業者の事務所わきの花壇で、自宅の庭にも咲いていた。きっと丹念に世話をしていたに違いない。