建国の父の生家を再現 トルコから

トルコ北西部の都市キルクラレリを訪れた。イスタンブールから車で1時間ほどにあるブルガリア国境近くの閑静で緑豊かな都市だ。
 

農園を営むトルコ人の知人に招かれて行ったそこには、トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル・アタチュルクの生家が再現されていた。ギリシャのテッサロニキの生家が、そっくりそのままの建築様式で建てられ、室内には本人や母親の蝋(ろう)人形まであった。

トルコ国民にとってアタチュルク(トルコの父の意)は、最も尊敬する愛国者であり、トルコを近代化した偉大な指導者だ。1923年にトルコ共和国の初代大統領に就任したアタチュルクは、イスラム教によらない均一な教育制度を全土に配し、3年後には男女同権を実現、さらに8年後には女性の参政権も認めた。服装改革も行われ、近代的な服装が推奨された。文字はそれまでのアラビア語表記に代わり、アルファベット表記を採用し、国民の識字教育を進めた。

外国人でも公共の場ではトルコ語を話すことが義務付けられたという。確かにトルコでは、英語を話す人が本当に少ないので、納得である。それまで休日はイスラム教で金曜日だったが、日曜日に変更し、西欧諸国と足並みをそろえた。一夫多妻制は廃止され、公的婚姻が義務付けられた。全国民が姓を持つことも義務化された。

57歳の生涯を閉じるまで4期にわたり大統領を務め、数々の改革を成し遂げたアタチュルクは、今もなおトルコ国民が誇りとし、語り継がれる英雄だ。(M)