終戦77年 不戦の誓い新た 戦没者追悼式 コロナで3年連続縮小

天皇陛下「深い反省」

全国戦没者追悼式で黙とうされる天皇、皇后両陛下=15日午後、東京都千代田区の日本武道館

終戦から77年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれた。天皇、皇后両陛下や岸田文雄首相、遺族ら992人が参列。天皇陛下はお言葉で今年も「深い反省」との表現で追悼を表し、感染拡大を続ける新型コロナウイルスについても言及された。

式典は今年も新型コロナの影響で規模を縮小しての開催となった。午前11時50分すぎに始まり、正午の時報に合わせて参列者全員で1分間の黙祷(もくとう)を捧(ささ)げた。

天皇陛下が約2分間にわたり「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」とお言葉を読み上げられた。新型コロナについては「力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」と述べられた。

これに先立ち、岸田首相は式辞で「今日、私たちが享受している平和と繁栄は戦没者の皆さまの尊い命と苦難の歴史の上に築かれたもの」と追悼。その上でいまだ争いの絶えない国際社会に対し、「世界が直面するさまざまな課題の解決に全力で取り組んでいく」と話した。

細田博之衆議院議長は日本の安全保障環境が複雑になっていることに触れ「これまで以上にわが国が国際社会の平和と安定のために果たすべき役割が高まっている」とした。さらに、戦争の惨禍を繰り返さないためにも「戦争のもたらした多くの犠牲や苦難、教訓について次の世代に語り継いでいくこと」の必要性を述べた。

父親が中国で戦死した岡山県高梁市の大月健一市議(83)は遺族を代表し、「世界ではロシアによるウクライナ侵攻など、いまだ戦争が絶えず今も私たちのような遺族が生まれ続けている」と述べ「一日も早く平和な世界が実現するよう祈らずにはいられない」と追悼の辞を読み上げた。

厚生労働省によると当日参列した遺族は計569人。最高齢は95歳、最年少は7歳で、うち18歳未満は4人だった。

感染防止策として、国歌の斉唱は取りやめ、演奏だけ実施された。式典の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で中継された。