【パリ安倍雅信】欧州南西部から始まった熱波襲来は、各地で40度を超える最高気温を更新し、ポルトガル、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャの各所で山火事が発生した。仏気象庁(メテオ・フランス)は、熱波の頻度が2050年までに2倍に達するとの見方を示し、警戒を呼び掛けている。
フランスでは南西部のジロンド県の山火事の規模が大きく、今回の森林火災だけで2万800ヘクタールの森林が焼失し、4万人近くの住民が避難を余儀なくされた。フランスでは今月18日に60以上の地点で観測史上最高の気温を更新し、19日はパリでも40・5度を記録した。仏西部ブルターニュ半島北西部ブレストで39・3度に達し、同半島の南の付け根ナントでも過去最高の42度を観測
パリを含むイルドフランスには、仏全土の24%に当たる28万7000ヘクタールの森林があり、国立森林局(ONF)関係者によると「歴史的にパリ南方フォンテーヌブローの森は常に火災のリスクにさらされている。そのリスクは近年、森林全体に拡大している」と指摘した。
ONFによれば、森林火災の原因は気温上昇と乾燥だけでなく、10件中9件の森林火災は、たばこ、バーベキュー、キャンプ場の火の扱いなどによるとしている。
この数年、コロナ禍でテレワークが促進され、パリの住民が自然豊かなパリ周辺のイルドフランスに移住する例が急増し、人災による火災のリスクが高まっていると指摘されている。7月に入ってからの森林火災で放火事例も判明し、パリ周辺に森林火災が起きることを当局は警戒している。



