と直木賞の窪美澄さん=20日、東京都千代田区.jpg)
第167回芥川賞・直木賞の受賞作が発表された。芥川賞は高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」(「群像」1月号)、直木賞は窪美澄さんの「夜に星を放つ」(文藝春秋)が選ばれた。
今回は芥川賞の候補作に5作品が選ばれたが、作者全員が女性というケースは賞創設以来初めてという。直木賞も作者が男性の候補作は一つのみ。女性作家の存在感が近年増していることが反映されたものだと言えよう。
日本文学の源流とも言うべき随筆「枕草子」の清少納言や小説「源氏物語」の紫式部以来、王朝文化の担い手として女性が活躍してきた。詩歌の世界においても「万葉集」などに作品が登場する女性歌人は数多い。そのことを見れば、現在の状況も不思議ではないのかもしれない。
賞の名前によって文豪の芥川龍之介は、時代を超えた人気作家となったと言えそうだが、それも作品の力があってのこと。芥川のイメージとしては、写真の気難しい印象や神経質ということもあって、やや病的な感じを受けてしまう。
だが、実際は家の木に登ったりするほど活発な面もあった。作品を見ても、文体に強い意志を感じさせることから病的とは言えない。晩年の神経の病を感じさせる一群の作品も、頭脳が弱っているというよりも、エネルギーに満ちている感がある。
1927年のきょうは、芥川が自殺した日。忌日は「河童忌」「我鬼忌」「龍之介忌」と呼ばれている。



