
ことわざというのは、誰でも一度は聞いたことがあるというものが少なくない。
庶民が歴史を超えて語り伝えてきた知恵や英知などが分かりやすい言葉として表現されているせいもあるだろう。
ただ、ことわざには、その国の文化や風俗や慣習などが背景にあるので、国が違えば、同じようなことわざに見えても、案外中身が意味していることが違うということもあるようだ。
お隣の韓国でのことわざを紹介した『韓国朝鮮ことわざ辞典』(金容権著、徳間文庫)には、そんな例がいくつかある。
例えば、日本では「石橋を叩いて渡る」という有名なことわざがある。
これは用心の上に用心を重ねて物事を行うこと、何ごとにも慎重であれ、ということになる。
『韓国朝鮮ことわざ辞典』によれば、韓国のことわざにも似たような言い方がある。
それが「石橋も叩いて渡れ」というのがそれに当たる。
著者によれば、「この諺の意味は、たとえよく知っていて間違いのないことでも、心せねばならないというほどの意味です。さしあたり、日本の『浅い川も深く渡れ』に相当するといってもよいでしょう」になる。
もちろん、似ていることわざもあるのだが、似ているようで違う、というのは日韓関係の微妙な距離関係にも反映しているかもしれない。
(鷹)



