ポリマー紙幣の扱いめぐり混乱 フィリピンから

フィリピンでは高額紙幣の1000ペソ札がポリマー紙幣としてリニューアルされ流通が始まっている。しかし中央銀行が折り畳むことを推奨しないなど、その取り扱いをめぐり混乱も広がっている。

ソーシャルメディアではショッピングモールで折り目が付いたポリマー紙幣での支払いを拒否されたとの投稿が注目を集め、その使い勝手の悪さを批判する意見が相次いだ。

これを受け中央銀行は声明を出し、折り目が付いても価値を損なうものではないと発表。商業施設などに大きな損傷がない限りポリマー紙幣も受け入れるよう要請した。

中央銀行は一般の紙幣と比べ、湿気などに強く長持ちするポリマー紙幣の耐久性を強調していた。しかし流通するに当たり、強く折り畳んで財布に入れたり、漂白剤など化学薬品への接触を避けるよう注意を呼び掛けたことで、一般の紙幣よりも脆弱(ぜいじゃく)とのイメージが広がってしまった。

またフィリピンでは紙幣をホチキスで止めるという荒業もよく見掛けるが、裂けやすいポリマー紙幣ではこれも厳禁とされた。

ピメンテル上院議員は、ポリマー紙幣の取り扱いの面倒さに加え、紙幣の素材であるアバカの国内産業に与える影響も大きいとして、発行を中止するよう中央銀行に求めている。

国鳥のフィリピンワシをあしらったデザインは好評だったが、まだATMで使用できないなどのデメリットもあり国民に受け入れられるにはまだ時間がかかりそうだ。(F)