増える「サル痘」感染者 スペインから

スペインの保健関係者の新型コロナに次ぐ新たな懸念は、このところ急激に拡大している「サル痘」の感染である。

世界保健機関(WHO)によれば、現時点では「公衆衛生上の緊急事態」には至っていないとしているが、21日にも緊急委員会で再検討する。

アジアでの感染も確認されているようだが、「サル痘」は2022年初頭、最初の症例が確認されて以来、ヨーロッパを中心に徐々に拡大、15日時点では62の国・地域で1万2333人が感染。中でも2835人のスペインが数字の上では群を抜いており、多くは首都の位置するマドリード州で報告されている。ただ、今のところ死亡者が出ておらず、感染者もコロナと比べ少ないためか、市民らは危機感をほとんど持っていない。

「サル痘」感染者の大半は、男性同士の性的関係から生じることで知られ、政府も6月の「プライド月間」後の状況が懸念されることから、主催者側に注意を促すなどの対応を行っている。ところが、新たに、家族や子供(3歳)を含む性的関係によらない感染者が確認され、感染ルート拡大の可能性を懸念している。

「サル痘」は、最初のウイルスが「カニクイザル」から発見されたことからの命名だが、実際にウイルスを持っているのはネズミやリスなどの「げっ歯類」であり、WHOでも名称の変更を検討しているようである。

(T)