.jpg)
9月11日の沖縄県知事選まで2カ月を切った。現職で2期目を狙う玉城デニー氏(62)と前回のリベンジを果たしたい前宜野湾市長の佐喜真淳氏(57)が出馬表明し、4年前と同様に、保革一騎打ちとなるとみられていたが、13日になって前衆議院議員の下地幹郎氏(60)が立候補を正式表明。今後、第三極としてどれだけ存在感を示すことができるか注目される。(沖縄支局・豊田 剛)
「辺野古移設」で違い鮮明
自民、保守分裂に苦悩
オール沖縄は静観の構え
下地氏は参院選の最中は米国の首都ワシントンにいた。その滞在先で自身の動画投稿サイト「ユーチューブ」を使って知事選に出馬すると表明した。

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設については反対の立場を表明。「辺野古問題に決着をつける」と強調、「自民党もオール沖縄もリアルな議論をしていない。本当の意味で基地問題を解決する役割をさせてほしい」。
具体的方策として、「埋め立て工事を止め、軟弱地盤の工事には着手させない」と訴えた。普天間飛行場の代替地については、鹿児島県の馬毛島で訓練を実施することで「3~4年以内に騒音と危険の負担を終わらせる」と話した。既に埋め立てられた場所は、「オスプレイの駐機を行う格納庫を造る」と提案した。

ホワイトハウス前で出馬表明した理由については、「日本政府とだけ協議しては駄目で、ホワイトハウスとも協議しなければ沖縄の問題は解決しない」と述べた。
下地氏は1996年の衆院選に自民党から出馬して初当選。衆院議員を6期務め、国民新党時代には郵政改革相に就任した。2014年の同県知事選に出馬したが落選。その後、維新に移って再び衆院議員になるが、同氏の事務職員が統合型リゾート(IR)参入を目指す中国企業関係者から現金を受け取った際、政治資金収支報告書に記載しなかったことが発覚し、除名処分となった。
昨年秋の衆院選では一部の経済界に推され自民復党を画策したが、認められず、保守分裂の選挙となり、落選した。その後、すぐに街頭演説をしたり、「次期衆議院議員」という肩書きが入った名刺を配ったりするなど、次の衆院選への出馬をにおわせた。ただ、衆院解散がなければ、次の国政選挙は3年後となるため、知事選に出馬することによって影響力を保持しようとの狙いがあるとみられる。
衆院選で下地氏を支援した企業関係者は出馬について、「聞いていなかった」と驚きを隠せない。関係者によると、衆院選の時のような保守合同を求めるという大義がない分、知事選に出馬しても支援企業は少なくなる公算が大きい。
下地氏が出馬表明したことの受け止めはさまざまだ。
知事選の前哨戦となる参院選沖縄選挙区では、自民公認候補の古謝玄太氏がわずか2888票差で落選した。選挙イヤーの今年、市長選に4連勝し、衆院選で1議席増やすなど、天王山の知事選に向けていい流れできていただけに痛い敗北だった。これに輪をかけて打撃を与えかねないのが下地氏の出馬表明だ。さらに、参院選で初議席を獲得した参政党も知事選の候補者擁立を検討しているとされる。
自民党県連の関係者は「衆院選で保守分裂した結果、共産党候補の当選を許した。票が割れて勝てるはずがない」と頭を抱える。ただ、別の自民党員は、下地氏は辺野古移設反対を公約に掲げていていることから、「オール沖縄の票を奪うことになれば」と期待を込めて話した。
自民が擁立する佐喜真氏はまだ知事選の政策発表をしていない。参院選に出馬した古謝氏が辺野古移設の容認を公約に明記しているのに倣い、佐喜真氏も移設容認を掲げて選挙戦に臨む見通しだ。
一方、オール沖縄陣営は、下地氏の動きを静観する構え。玉城氏は下地氏の出馬についてコメントを発していない。



