
停滞する前線の影響で列島各地に記録的な大雨が降り、宮城県や山口県では河川が氾濫して住宅に浸水被害が出ている。避難のタイミングを誤らないようにしてもらいたい。
各地で発生している「線状降水帯」は、積乱雲が連なり強い降水を伴う雨域のこと。気象庁は6月から発生の半日前に予報する取り組みを開始した。今回初めて運用され、山口県や九州で15日夜~16日午前に発生すると予測されたが“空振り”に終わった。
気象現象だから予測がつきにくいと言われる。それでも気象庁が予報に踏み切ったのは、発生すれば大きな被害が予想されるからだ。
線状降水帯による豪雨被害は、特に2015年の関東の鬼怒川、20年の熊本・球磨川氾濫などが挙げられる。この時、上流から下流にかけて川沿いに発生し、ごく短時間で増水して流域に大きな被害をもたらした。
ただし、局地的豪雨は線状降水帯によるものでなくても起こりうる。宮城・大崎市では16日午前9時半までの12時間降水量が203・5㍉となり、観測史上最大を記録。市内を流れる名蓋川の堤防が決壊した。京都市でも1時間90㍉の猛烈な雨が降った。
今日、局地的豪雨と共に異常気象のもう一つの特徴は複合的な災害の発生。理学博士の故福岡浩新潟大教授は「地震と極端豪雨などが重なるワーストシナリオがありうる」と7年前の小紙インタビューで警告している。気象現象の予測によくよく注意を向ける必要がある。



