
東京から東海道新幹線に乗って浜松を過ぎた辺りから、田畑間の空き地に以前は見られなかった太陽光発電のソーラーパネルが設置されているのを何カ所も見掛ける。小規模だから施設用か家庭用か。再生可能エネルギー事業が拡大している証しであろう。
自治体のうちには、家屋の屋根にソーラーパネルを設置するよう推奨しているところもある。電力関係の企業が、住宅用にリースの太陽光パネルと蓄電池を組み合わせたシステムを販売し、「自前発電が有利」と得々と説明しているという話も聞く。
家庭の場合、電気を電力会社から買うより自前の方が、確かに1㌔㍗時当たり15円ほど安いという。しかし実際は、自家発電のため機材の設置を決めるのは簡単なことではない。特に高齢者には、いまさらという気持ちもあるだろう。
夜間使用では、日中発電して余った分を蓄電池にためて使うための装置がいる。気象条件を気にしなければならない。
わが国はこれまで長年にわたって発送電一貫方式を取り入れてきた。電気に関して誰もがエネルギーの良く循環する大樹の下に暮らすがごとく、不安のない生活を送ることできるようになっている。だが、その体制が崩されるような勢いだ。
現在、目先の節電についてもだが、その先の電気安定供給に向けた対策はどうなっているのか。わが国にとって、かつての石油ショック時や東日本大震災直後の節電や電力不足とはまた違った懸念材料だ。



