【上昇気流】(2022年7月10日)

猛暑

「冷房の頭の痛きまで効きて」(金川ふみ子)。外出して、あまりの暑さに途中で喫茶店などを探してしまう。クーラーの風に当たると一時的に気分が良くなるのだが、徐々に冷気の強さに鳥肌が立ち、いたたまれず店を出ることが多い。

熱中症の予防には水分や塩分の補給、クーラーの活用などが欠かせないが、クーラーは冷え過ぎるという欠点がある。その点、扇風機は自然な風とまではいかないが、クーラーほどの冷え過ぎはない。両者をうまく使うことが夏の暑さを乗り切るコツかもしれない。

「風鈴や誰に気兼のなき暮し」(西岡つい女)。便利な家電がなかった江戸時代、人々は水撒(ま)きをするなど工夫して暑さをしのいで過ごした。そんな夏の風物詩と言えば、風に吹かれてチリンチリンと鳴る風鈴がある。かつては、その音に涼を感じたものだが、最近は騒音と感じてしまう人もいるらしい。

この背景には、自然現象をどう捉えるかをめぐる感性の違いがある。そういえば、秋の虫の声にしても、外国人にはただの音としか聞こえないものらしい。文化の違いは、感性にまで及んでいるということだろう。

それだけで済めばいいが、そこにさまざまな思想的・政治的な違いがあると、大きな事件や事故に発展する場合がある。

きょうは、国の将来にも影響を与える参議院選挙の投票日。投票を通じて、平和や民主主義、自由を守れるよう、国民の一人として責任を果たしたい。