
自ら戦う意思が必要 朝日は沈黙
1カ月前の話だが、朝日5月6日付1面トップにウクライナの国連大使セルギー・キスリツァ氏のインタビュー記事が載った。同氏は今年1月以降、国連安保理で15回、総会で3回演説し、国際社会に助けを求めたが、2月末にロシアの軍事侵攻を許したとし、「ロシアによる国際秩序の破壊を許せば、日本の周辺が次の戦場になる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
聞き手は米ニューヨーク支局の記者で、キスリツァ氏に日本政府の支援策についての期待を尋ねていた。これに対する回答はこうだった。
「『私の答えは、あなたへの質問だ。日本国民は日本政府に何を期待するのか』
いま、国際社会はウクライナを助けている。同じように、有事の際に日本が国際社会から助けてもらうために、どのようなウクライナ支援ができるのか、あなたが考えてほしい――。そんな答えがかえってきた」
残念なことに記事には朝日記者の答えがない。外交だけでは侵攻を防げない。キスリツァ氏の質問は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が「一にも二にも軍事支援」と語っているように、軍事支援についての朝日自身の考えではなかったか。
日本有事に同盟国・米軍の支援を期待しても、自ら戦わない国はどの国も助けないというのがウクライナ戦争の教訓だ。ところが朝日は軍事を忌避し、沈黙する。
戦闘さえなければ、平和がくるとでも言うのか。朝日5月17日付社説は「米欧側は一刻も早くロシアを停戦に導くため、結束した行動を貫く必要がある」と、停戦を唱えている。だが、国土の2割を露軍に占領されている現下の停戦は、ロシアの侵攻を容認するに等しい。戦闘がなくてもロシア軍は支配地域で人権侵害を繰り広げている。




