「最も深刻な長期的挑戦」米国務長官が対中演説

台湾政策に変更なし

26日、ワシントンで演説するブリンケン米国務長官(AFP時事)

【ワシントン山崎洋介】ブリンケン米国務長官は26日、首都ワシントンで対中政策演説を行い、ロシアによるウクライナ侵攻が続く間も「われわれは国際秩序に対する最も深刻な長期的挑戦である、中国がもたらす課題に集中し続けるだろう」と表明した。一方で、「われわれは紛争や新たな冷戦を望んでいるのではない」とも訴え、気候変動問題などで協力を模索する考えも示した。

ブリンケン氏は、「中国は、国際秩序を変える意図とそれを行うための経済的、外交的、軍事的、技術的手段の両方を持つ唯一の国だ」と強調。また「インド太平洋に勢力圏をつくり、世界をリードする大国になるという野心を公言している」と警戒感を示した。

その上で、「中国政府がその軌道を変えることに頼ることはできない。そのため、開かれて包括的な国際システムのためのビジョンを推進させるため、われわれは中国を取り巻く戦略的環境をつくる」と表明。今後10年間が決定的に重要だとし、国内産業基盤を強化するための「投資」や同盟・友好国との「連携」を推進した上で、中国との「競争」で優位に立つとの方針を示した。また、国務省内に横断的に対中国政策の調整などを行う「チャイナハウス」を設立すると発表した。

一方で、「われわれを分断する意見の相違が協力を必要とする優先事項の推進を妨げてはならない」とも訴え、気候変動問題や新型コロナウイルス対応、核不拡散などでは中国と協力を模索する考えも示した。

台湾をめぐっては、バイデン大統領が台湾有事の際に軍事的関与をするとの考えを示したことで注目が高まっていたが、ブリンケン氏は「『一つの中国』政策を維持する」と述べ、従来の方針と変わっていないと強調。一方で、「変わったのは、台湾と世界各国との関係を断ち切り、国際機関への参加を阻止しようとするなど、中国政府の圧力が強まっていることだ」と非難した。