犯罪半減は麻薬戦争の効果? フィリピンから

フィリピンのドゥテルテ大統領といえば強権的な麻薬戦争で知られているが、その成果として犯罪が50%も減少していたことが分かった。内務自治省の高官によると2016年に誕生したドゥテル政権下で発生した犯罪は135万件で、アキノ前政権の270万件と比べ50%も減少したという。減少の要因としては、麻薬戦争に伴う治安の改善を強調した。

しかし、6年間の任期のうち2年間も新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンをしていたので、犯罪が減少するのは当たり前だという突っ込みもありそうだ。とはいえ街頭に警官の姿が増え犯罪が減ったことを実感する市民が多かったのも事実だ。

ところで、最近増えている犯罪でちょっと驚いたのは「水道メーター泥棒」だ。フィリピン中部の主要都市であるセブ市を中心に増えており、今年に入り500件近くの被害があり、すでに昨年全体の被害を上回っているという。窃盗の目的は水道メーター本体ではなく銅製の部品らしく、転売を目的にしていると警察は指摘している。強権的な麻薬対策で治安が改善する一方で、ロシアのウクライナへの軍事侵攻により値上がりする品々のうち銅に目を付けた犯罪が、遠く離れた南国でも社会問題化しているのだ。

ちなみにドゥテルテ大統領は退任後も一市民として麻薬戦争を継続すると豪語している。(F)