対中包囲網、印との連携に課題 クアッド会合受け米メディア

開催されたクアッド首脳会議=24日午前、首相官邸

【ワシントン山崎洋介】24日のクアッド首脳会合を受け、米メディアはロシアのウクライナ侵攻に中立的な立場を取るインドと米国などとの立場の違いに注目。今後に大きな課題を残したことを指摘した。

NBCニュースは、世界はロシアに対処すべきだとするバイデン氏の発言について「直接言及はなかったが、少なくとも部分的には、ロシアの侵略にどう対応するかについて意見の相違が続いているインドのモディ首相に向けられているように見えた」と指摘。その上で「ホワイトハウスが世界最大の民主主義国であるインドの沈黙に失望している」とし、3月以降インドを説得するための取り組みを続けていると伝えた。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「バイデン大統領は、米国が地域の同盟国と団結していることを世界に示すためにアジアを訪問し、台湾に関する強硬な発言で、中国に対するより強い立場を望むタカ派を活気づけた」と指摘。その一方で、クアッドで示された連帯が「深刻な試練に直面する兆候が見られた」とし、特に共同声明でロシアを名指ししなかったことで「分裂が強調された」との見解を示した。

CNNは、「初のアジア歴訪を終えるにあたり、バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻を引き合いに中国に明白なメッセージを送った。『同様に国際秩序の違反をすれば、米国の厳しい反応を招くだろう』というものだ」と指摘。バイデン氏がロシアを強く非難することで、中国の攻撃に強く対応する姿勢を示したと強調した。

一方、バイデン氏が日米首脳会談共同記者会見で、中国が台湾に侵攻したら軍事介入すると発言たことに猛反発する中国外務省の汪文斌副報道局長、同国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官らの発言を報道するとともに、中国がクアッドに対して「インド太平洋NATO」などと批判していることを伝えた。

ただ、対中包囲網の形成に強い危機感を持つ中国の対抗心を示す動きから、バイデン氏がアジア歴訪で同盟国・友好国との連携強化を進めた「これらの措置が中国の野心を封じ込めるために多くを成し遂げたかは全く分からない」とも付け加え、その成果については慎重な見方を示した。