ウクライナ侵攻で53の文化施設が破壊 ユネスコが報告

ウクライナ北東部の都市ハルキウでロシア軍の攻撃で破壊され居住地=2022年3月10日(UPI)

【パリ安倍雅信】フランス・パリに本部を置く国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、ロシアのウクライナ侵攻によってウクライナ国内の少なくとも53の文化施設が全壊または半壊の被害を受けた可能性がある。衛星画像やウクライナ政府の報告、現地の報道などを分析し、29の宗教施設、16の歴史建造物、四つの美術館、四つの記念碑が特に被害を受けたとした。ユネスコが1日、明らかにした。

2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナでは少なくとも53の文化的施設が被害を受けたと報告した一方、提示された被害リストは「すべてを網羅しているわけではない」と説明した。また、「われわれの専門家は、多くの報告を調査し続けている」と付け加えた。

ユネスコが1日に公表した報告によると、特に被害が大きいのは北東部の同国第2の都市、ハリキウ地域で、ロシア軍による激しい砲撃を受け、18の文化施設が破壊されたという。ただ、同リストには、ロシア軍によって包囲され爆撃された同国南東部マリウポリや、ロシア軍によって制圧されている南部ヘルソンに関する情報は含まれていないとしている。

ロシアは、武力紛争が発生した場合の文化財保護のために1954年に制定された国連条約に署名している。ユネスコのアズレイ事務局長は3月17日にロシアのラブロフ外相への書簡で、「これらの条約に違反した場合、加害者の国際的責任が発生する」と伝えたことを明らかにしている。